くらしとせいじカフェ京都・倉林明子さんインタビュー
共産党参議院議員・倉林明子さん インタビュー
くらしと政治カフェ京都 出張版 2019.6.8 京都府庁前共産党事務所にて
「立候補予定者さんに共通してお聞きしたいこと」
- どうして政治の世界に入ろうと思われたのですか?
- MMT、反緊縮などいろんな経済政策が話題ですが経済政策を教えてください。
- 誰に投票したらいいのかわからない、という人にどう語りかけますか?
- 政党の方針と個人の思いはすっかり重なっていますか?考えが違うところもありますか?
- どんな社会を作りたいと思っていますか?
- 尊敬する人は誰ですか?
文中以下、
倉)→倉林明子さん
草)→草の根プロジェクト事務局数名
<インタビュー>
草)まず経済政策ですね、今、 MMT とか反緊縮などが話題ですが、共産党さんの経済政策をお聞かせください。
倉)一言で言うと働く人の懐を底から上げていくというものです。
だから内需拡大とか財政の動かし方というよりも雇用を守って賃金を底上げする、そうすることで経済循環を好循環に回すと言う考え方が基本なんです。
だから最低賃金を全国一律1500円にあげる、もちろん中小企業のところは保険料負担の軽減ということとセットで。今、政府は7億円ぐらいしか中小企業の賃上げ財源というのを投じてないんですよ。7000億ぐらい投じれば中小企業の雇用保険の保険料を免除できる。
なので、これをセットにすれば全国一律1500円も可能。
これを担保すれば暮らせる最低賃金になって、納税者が増える。 担税力という言い方をするんだけれども担税力を高めるということをすることによって所得も税収も増える。消費内需を拡大するということをベースにしていくべきだろうと思っています。
雇用政策は経済政策なのです。安心して結婚し、子育て出来る賃金を保証する。それが今の人口減少をストップすることにもなる。
低賃金非正規というようなことがやっぱり今の経済の悪循環の根っこにある、安心できる社会保障をセットで実現することがお金を安心して使えることにつながる。
外需頼みではなくて内需を成長させるという転換が必要だというふうに思っています
MMT の理論が出てくる背景に、やっぱり社会保障がひどすぎる、北欧などと比べたりすると医療でも年金でも。今やっぱり社会保障に対する不安がすごく強いのでMMTなどは国債をじゃんじゃん発行してでも社会保障をもっとよくしたらいいんじゃないかという、そう思わざるを得ないというような社会保障の貧困がある。
MMT への期待っていうのがわからんわけでもないなぁと思うところはあるんだけれども、じゃあ国債頼みで経済は良くなっていくのかと言ったらそうではない。需要をしっかり支えて社会保障は国債に頼らずに、支払う能力のあるところから税金を回す、ということで社会保障を支えていく、安心を保障していくということが経済成長にもつながると思っています。
草)そうですね、庶民感覚でも、お金は余ってるんじゃないのか?これ以上刷る必要あるの?
その前に、お金いっぱいある所から税金取ってないやん、とつい思っちゃいます。
倉)自分の財布で考えたら、そんな借金して大丈夫ってなるじゃないですか。
この先、借金どうやって返すの?って考えたら、経済成長なしに返せないじゃないですか。
そこらは本当にちょっと今の議論だけでは心配なところですね。
そこには答え出せてないと思います。
- どんな社会を作りたいと思っていますか?
草)次の質問なのですが、具体的にどういう社会を作っていきたいのか、もし、今、理想とするような国が具体的におありでしたら教えてください。
倉)目指すべき社会保障水準とか働き方のルールが守られてるということで言えば、やっぱり北欧ヨーロッパでしょうか。今、 EU はどうするかいろんな議論があったりしていますけれども、達成してる水準ということで言えば当面の目指すところなんじゃないかと思います。
草)共産党さんと言うと中国北朝鮮ていうイメージが大変強い。だから割と根強いアレルギーのようなものがあると思うのですが、北欧をお手本、と思ってらっしゃるんですね。
アレルギー払拭のために今、考えてらっしゃることはありますか?
倉)アレルギー、格段の変化が起こっているなあと思う。私なんて今、58才なんですけれど田舎でしたから、共産党アレルギーはすごい。山の中で福島県と新潟県の県境みたいなとこなんですけれど、すごいアカ攻撃っていうか、村八分みたいなことが当たり前にあったし。
うちは両親とも党員だったので、親戚付き合いもしてもらえないというのがあったですよ。
ところが今どうかというと若い人たちの中には全くないね。高校生はもちろん、30代40代のところではアレルギーはほとんど感じなくなっているなあと思います。
草)一般的にはですよ、率直に言いますとまだまだあると思います、笑。
倉)まだまだハードルあるか〜。
草)「敦子さん、共産党の応援するの?」みたいなの、日常的にあります。そこがとっても勿体ないなと思いつつ。政党というものへの違和感は私たち自身にもあるので。
だから私たちは無所属で選挙に出たのですが。
次の質問になりますが、政党というものについて「なんだろう?」と私たちなんか話思うのですが。
- 政党の方針と個人の思いはすっかり重なっていますか?考えが違うところもありますか?
倉)共産党は前衛党と長らく名乗ってたんですよね。労働者の前衛党。前衛って漢字書けます?みたいな、笑。要は先頭に立って引っ張っていく存在みたいなね。共産党が掲げていた「自由と民主主義の宣言」っていうのがあって、どういうものかというと、個人の尊厳を最も大切にする社会を目指す。それがすごく私にはピッタリ来て、それを政党としてね、集団で、一人でなくって思いを一つにする集団で政治を変えるためにという思いですから。
政党との矛盾は無く入りました。
でも前衛というような言葉にはすごく違和感があって、前衛でなかったらいけないのか?っていう感じ。「私、前衛の中でも後ろにいたいわ」みたいなところがすごくあったんだけれども。
2004年に全面的に党綱領の改定があったんです。そこで党の綱領は大きく変わって、国民の党という風に変えたんですよね。
私が入った頃から「前衛党」というよりも実態は「国民の党」という感じだったので、目指す社会も私の方に近づいてきたかな?と。
国民の党ということを掲げた日本共産党、改めて天皇制を含めて憲法のすべての条項を遵守する社会を当面の目標として目指そうねっていうことでスッキリして。それからはもう本当に違和感なくやれるようになってきたのかなと思いますね。
草)自由と民主主義って言うと自由民主党ですよね、笑。
倉)あーそうそうそう、笑。
草)でも共産党という名前を使い続けている意味は なんですか?
倉)当面、自由と民主主義を実現し、資本主義をもっとまともなルールのある資本主義として発展させないと駄目だと思ってるんですよ、当面は。
草)資本主義を発展させる!
倉)今ノンルールじゃないですか。
草)そのルールのある資本主義に向かわせるためのポイントはどこにあるとお考えですか?
倉)やっぱり 立法府にあると思う。
草)法律ってことですか。
倉)そうです。法による規制です。
行政府を総理大臣も縛るのが憲法であり、立法府が国民の代表として最も高い権限を頂いているのにそこが今、機能していない。
非正規がこれだけ拡大してしたのも法律が変わったからじゃないですか。
働かせ方含めて、やりたい放題も法律で規制緩和してきてるからじゃないですか。
8時間働けば普通に暮らせるという安心が全ての労働者に保障されるというのは、今の資本主義の中で十分実現可能な法規制事項なんですよ。
草)資本主義を、ルールに則って発展させて働いてる人が正当な賃金を得られ、社会保障の充実を北欧並みにする。
倉)税金の集め方でも、今トヨタなんかやったら輸出戻し税があるので輸出した時点でガッポリ消費税が入る。そんなんですよ、そんなあまりにも大企業が優遇される、大金持ちだけが優遇される。
あまりにノンルール。
草)機能さすためにはやっぱり 今の自民党を倒さないと難しい?
倉)それなしには出来ないと思います。
草)今言ってくださったところから言うと、私たち小さなマーケットをやりなが勉強会をしているんですけれど。この間はモザンビークとブラジルのプロサバンナ計画 、結局三井物産と JBIC(国際協力銀行)が満州帝国を作った同じ手法でブラジルとモザンビークに鉄道を引いて物資の輸送で儲ける森林を伐採して一大大豆畑にして油にしたり飼料にしたりする。それは2次的な目的で、やっぱり鉄鉱石とかそういうものを採掘するというようなことをやっていて。アマゾンでは右派政権に変わってから毎日、愛知県一個ぶんぐらいの森林伐採が行われている。私たちの税金で大規模な環境破壊がなされ、回りまわって私たちも気候変動を肌で感じるような状況にある。もう日本のことだけ言っていても全然ダメだと、そんな風に強く思うのですが。
倉)そのモザンビークの話じゃないんですけれども JICA と世界銀行とか投資銀行が一緒になって石炭火力発電書をバンバン作ってる海外で。農地つぶしたり海岸で漁が出来なくなるなことをしながら、この時代に石炭火力発電所をバンバン投資して作っているんですよ。
原発計画はね、安全性が問題になって大分潰れたんだけれども実はその裏で日本は海外に石炭火力発電所を作っている悪い国だと言って相当批判されていて国会でも問題になっています。
草)エネルギー政策で新規の火力発電所計画が何十個もあって、今裁判起こしていて神戸製鋼が作ってる千葉のもそれで止まったりしているのですが。今、倉林さんに聞いたお話だと海外の石炭火力にも加担しているということで、ますます私たちの税金が悪しきことに使われているということになる。
倉)トータルで20兆円投資するって言ってますからね。
草)オールジャパンでやっていることなんですかね?
倉)そうそうJBICと投資銀行国策でやっているんですよ。
草)原発の輸出が止まっちゃったから。
倉)一体のものとして海外に20兆円の投資をすると。それは海外にお役に立つ投資だったらまだしも、なんだけど、海外の役に立つどころか公害を撒き散らしてる。現地の工事を日本のゼネコンが請け負ってね。
草)そういうことに関しては今回5野党が合意した13項目の政策に入ってないんですか?
倉)海外の投資を止めようみたいなことは入ってないんですよ。13項目にはエネルギー政策は転換しようということは入っています。原発ゼロにしようっていうことは入っていて、原発ゼロ・エネルギー政策の抜本的な転換と。でもそう言った時に、原発とベースロードとしている石炭火力をやめていこうという展開にならないと。
- 誰に投票したらいいのかわからない、という人にどう語りかけますか?
草)ここまでお聞きしたところで、また質問なのですが。
さっきも話に出ましたが、共産党さんはこの間ずいぶん変わられた。市民と共闘しましょうとか市民と繋がって行こうとしてくださってるのはすごく感じる。けれど、多くの市民は共産党とか自民党とか立憲民主党とか言ってもそもそも興味なかったり、よく知らなかったりする。投票率の低さがそれを表していると思うのですが。そして、政治に関心のある人たちの中でもやはり、共産党さんに対するアレルギーみたいなものもある。そんな中で、どんな風に共産党のことを伝えようとされますか?
名前を変えるのがいいという意見も根強いですが。。。
倉)日本共産党ね。
草)でもそれ大変な思いが詰まってるのも歴史を知ればわかりますね。戦前から戦中、戦後、戦争にも最後まで反対を貫いてきた共産党という名に込めた思いも。
けれども、大多数の政治にそんなに興味がなかったり、知らなかったりする人たちにどんな風に語りかけられますか。
倉)誕生した時から非合法じゃないですか元々。だいたいね、気が長い党やねん。
96年もやってるじゃないですか。すぐ実現するとかすぐ変わるっていうようなことは思っていない。いつか必ずその共産主義の社会を展望するっていう壮大な壮大な当時からしたら実現どころか非国民やし迫害の対象、命がけで主張してたのが共産主義の社会。まだ世界のどこでも実現していない社会を我々は展望して、一人の人間の一生で実現できる最終ゴールという風には思っていなくて。
だから私が生きてる間に共産主義社会に到達するとは思っていないんです。
草)倉林さんがさっきから言ってらっしゃる 北欧を理想とするというのがイコールで共産主義社会ではない?
倉)ではない。あれは資本主義社会ですね。
草)お〜。
倉)資本主義社会を乗り越えた先に共産主義社会に至るという展望。それが理想だから最後のゴールである名前を取っちゃうと資本主義改善党みたいなになるわけですよ。
草)なんか初めてそこ、お聞きしたような。
倉)だからそうそうずっと先の話なので。
草)今は共産主義がいいと思っていない人が大半?独裁的な悪い社会というイメージがある。
倉)だから今ね、「我々共産主義を実現します!」みたいなことは大きく掲げていない。
草)でもね、それダイレクトに言われた方がいいかもしれない。そこが曖昧だから余計わからないかもですよ。
倉)曖昧やろうか。だけどね、今政権も取れてないじゃないですか。政権に入ってね、まず。
草)政権を取ろうとしてはるのですか。
倉)してる、してる、してる、してる!声を大にして言います。
だから共産主義と言うカッコつき看板にして、 中国とか北朝鮮とかああいうロシアもそうだけれども結局一党独裁じゃないですか。そもそも、そこが共産主義と全く相容れないし。
草)でも一般はそれをイメージしちゃうんですよ。共産党の世の中になったら物言えなくなるみたいな。私なんか年取ってますから、学生時代いろんなオルグを受けていて、もう嫌って言うね、あるんですよ。でもそれとはもう違うんだっていうのは分かるんですね。けれども変わったんやったら変えなみたいな。本当にみんなに理解してもらおうとしてんのかな?ていう。
倉林さんの色々な宣伝物、読ませていただいたりビデオを拝見しても、草の根プロジェクトでみんなで話していることと似ていることが多いのですよ。だから個人的に倉林さんを応援したい!
したいんだけれども、いやちょっと待ってねって。そのもどかしさあるんですよ。
倉)率直に言っていただいてよくわかる。
草)きっと理想とされていること、それが大事なんです。それをバシバシッと出さないと。
倉)共産主義?
草)だって今の若い人は共産党のイメージって保守って思うんですって。
倉)あ、そうなんだと思う
草)自民と維新が革新で共産が保守と思うって。壊す者と守る者って言うイメージ?
共産党が政権とったら、どんな社会を作ろうとしてるのか?ということがわからない、見えないというのがあると思うんですよ。
倉)名前を変えないというのは、我々のゴールとして共産主義を掲げているので名前を変えるというのは考えられない。これが看板だってことですよね。どんな社会を目指すのかっていうのは、綱領に書いていて。
草)綱領長くて難しい。。
倉)前のに比べたらだいぶ短くなって分かりやすくなったんですけどね。前のは、もう言語がわからない!みたいなところがあったんだけれども。今でもちょっとあるかもしれないなあ。
草)なんでこういう風に言うかって言うと、野党共闘ができてから共産党さん、かなり頑張られたと思うんですよ。一人区で自ら候補者を下ろし。そんなことできるんだっていうようなことを見せていただいて。だからこそ本当に応援したいと思うんだけれども。
だけど多くの人はまず知らないですよね、共産党ってどんなんかっていうのがあんまりそもそも興味がない。そういう人に「選挙に行こう、そうすると今の自分の暮らしがもっと変えられるよ」っていうことをしつこくしつこく言っていくしかないわけですよね。最初の質問に戻りますが、「誰に投票したらいいかわからない」っていう人に向けて、今、倉林さんがね一番最優先事項で、「国会に行ったらこういうことをする」っていうのとそれは共通すると思うんですけど、誰に投票したらいいかわからへんっていう人に一番伝えたい事はなんですか?
倉)私一番やっぱり今止めないといけないのは消費税なんですよ。10%増税なんてなったらもうえらいことになると思っていてこれは絶対止めると。止めることをはっきり掲げてやる人です、ということを伝えたいです。
それと、私は看護師時代からずっと、憲法がある国でなんでこんなことが起こるのかって、腹が立ってきたのが国民健康保険料が高すぎるって事ですよ。払えないから保険証がもらえないで病院に行けないで死んじゃうっていうのがあったから。
それがきっかけで政治家になったわけじゃないんだけれども、憲法がある国で社会保障・生存権を憲法で掲げてる国で、社会保障で命を落とす、社会保障の制度の中で命を落とすことがあると。
絶対ここを土台として国民健康保険料は払える保険料にしたい。せめて健保並みに保険料は下げたい。
草)それが最優先だと。
倉)そう、私の優先事項です。
草)政治の世界なんか、もうどっか遠い世界の話で全くわからへん、みたいな人に向けて何かメッセージはありますか?
倉)そうね遠い所っていう風に感じさせているところとか、本当に仕事していると実感してもらえるようにできていないって、立法府全体の責任すごく大きいなと思うんだけれども。
やっぱり声が上がることが政治を動かす一番だなーっていうのがこの6年間国会に行ってて一番感じたんやね。だから、「私が皆さんの声を国会に届けます」っていうことでお約束して出たじゃないですか。で、原発のこと消費税のこと社会保障のことを約束して国会に行って。
そしたら消費税でもね、消費税のことを経済産業委員会で言うのは私だけだったんですよ。下げろって言うの。そしたら「このおばちゃんどっから来たんや」みたいな感じでみんなサーって引きながら聞いてはったんやけど。でも世論を受けて私が一人で「8%でも大変なのに10%になったらとんでもないよ」って言ってるうちに議員が変わってくるんですよ。やっぱり凍結した方がいいとかね、延期だとかね色々声が出始めてて。国会で論戦して初めは少数でも世論が広がったら国会の論議も変わってくるし、そういうやっぱり世論を受けて消費税の増税は延期してきたわけだから。
そういう世論が大事だって。世論が国会議員を支配するんですよ 。
草)本来はね。
倉)だからその本来の姿をきっちり返せていない、マスコミもそういうこと書かないのがすごく残念。
草)いくら言っても変わらないと思ってる人が多いですよね。
倉)そうそう多いでしょ。
倉)消費税10%にあげるなんて当たり前だよってみんな最初ずっと思っていたし、法律に書いてあることを今更なに言ってんだ?っていう感じだったんだけれども、私が今回取り上げたのは地べたの声なんですね、もう商売やっていけないと。本当に潰れるとか暮らしていけないとか生の声を紹介するじゃないですか、そしたら「そうなんだよな」っていう感じになってくるんですよね。で、終わったら自民党の議員さんたちが拍手してくれたんですね。
草)自民党が?
倉)そうそう。地元に帰ったらそういう話を聞かされていると。だからあんたの言う通りだと思う、とかいうわけよ。そういう風に国会の中に世論が伝わって実際に影響力があるということを、みんな知らないじゃないですか。みんなが声をあげたから、これまで延期してきたわけですよ。何を言っても変わらないんじゃなくって、言ったら変わると。この体験を伝えたいなと思いますね
草)それは伝えて欲しいですね。
倉)原発だって、あの事故があったのに原発やめろというのは誰もいなかったんですよ、参議院経済産業委員会では。びっくりした!で、私が毎回のように言うじゃないですか。汚染水出てるやないか、漏れてるやないか、とか、色々事故が次々起こるので、それを国会で毎回取り上げて54回質問したんですよ。原発だけで。それで、それこそ初めは何言ってるんだ?という感じじゃないですか。
草)そっちの方がびっくりするわー!
倉)びっくりするよ、誰も取り上げない。野党もいるんですよ。でも取り上げない。それも何回もやってると、「俺も原発反対なんだよな」とか言って。終わってから。
草)自民党の?
倉)自民党の。
ほんで「あんたも言え」って言ったら、「いや言われへんねや」と。「なんでやねん」と。自民党やしと。こういうことを根気よくやってると委員会からも原発反対という声が出るようになったんですよ。そして今回、野党共闘で原発ゼロ法案が出せたじゃないですか。そんなん、私が行った6年前なんて原発のゲ字も言わへんかったしね、経済産業委員会のメンバーは野党でも。
草)野党でも!
倉)うん、だって東京電力労組出身ね。
草)ゼロ法案は立憲から出てきたんですね?
倉)4党でまとめたんですね。そして、不測の事態の時は再稼働できるっていう項目が実は原案には入っていた。
草)あれはサポーターズの中からもやっぱりそれはおかしいと。
倉)民進党民主党の時代はなかなか出来なかったんですね。でもやっぱり原発村ともしっかり対決しましょうっていうふうに大きく変わらはった。やっぱり立憲にならはってよかったなっていうのはそういうところ。本当に踏み込んでそれまでは労組と関係企業との関係からなかなか踏み込んで言えなかったね、どうしても大きい労組と大きい会社の利益共同体の中で。
草)立憲民主党と共産党の一番の大きな違いは何ですか?
倉)最終目標が違う。
草)ゴールが違うというのは200年か300年か先の?もう少し直近で、どこが違いますか?
倉)現時点で一番の違いは財源論だと思う。財源をどうやって作るのかというところ。
政府の財源。膨らむ社会保障に対してどうやって財源を作るかっていうところが一番の現時点では距離があるかなと思う。大企業と大金持ちからもっと負担してもらうように税制改正いるよ、と。
立憲民主党はここに大きく踏み込めるか?というのがある。
元々、野田政権の時に税と社会保障の一体改革ということをやった時に、社会保障の財源は消費税と言うことであったので、基本スタンスこれを捨てたということは聞いていない。
草)目的税としての消費税だということ。
倉)そうなんですね。
共産党は法人税と大金持ち税所得税累進課税を徹底すると。あと、株で儲けたらそのぶん欧米並みに払いなさい、と。今20%なので、30%が欧米並みなんですよ。それだけで1兆円出るんですよ。
濡れ手で粟のようなボロもうけの部分なので、どうやって税金を集めるのかっていうところ。
消費税に頼らないで別の道に進もうっていうとこで、ここが一致したらずいぶん財源で消費税にとらわれずに社会保障の充実っていうところも実現できる。社会保障がすごく残念なの、この国。
草)その辺りは今回の13項目の中に入っていない?
倉)そうそう13項目で踏み込めなかったのがなぜかと言うと、財源問題なんですよ。数兆円規模になるので 。だからいきなり消費税廃止ってなると、財源不足が膨らんでしまうのでそれは合意するのは難しいと思っていて 。でも不平等で弱者に厳しい税制なので、消費税そのものは本当に減らしていくし依存しない財政に立て直す必要はあるなと思ってるんです。
そういう意味でいうと共産党の独自の公約には、最低保障年金を作るということを入れるし、さらに医療介護の分野でも負担増じゃなくても負担の軽減ということを入れてる。
草)今ね少し危険かなーって私なんかが思うのは、種子法については左派も右派もとか、保守も革新も一緒に反対しましょうという流れがあって、それは一つ一つはいいかもしれないんですけれども、うっかりしていると、「日本さえ良かったらいい」というような、気づいたら全部保守になっていたわ!みたいなね。何て言うんですかそうゆうそういう気付いたら社会全体が、
倉)ジャパンファースト?
草)そうですね、危機感があるなぁっていうところがあって。
種子法反対って言ってたのに、いつのまにかうっかり、あれ日本第一党?みたいになって行かないために、それが結局その市民との連携かと。町の人との常に連携してますよ、というのが政党にとって必要なことなんじゃないのかなあと思うんですけれども。
それぞれの町単位でね。町の自治を高めていくというところに国政もヒントがあるという気がしています。 市民との連携を作っていかれるのかということと、一番最初に戻って、今日の核心かと思うんですけども、実は共産主義を目指してらっしゃるという、その共産主義 の姿形がどんなんか>っていうのはホームページとか拝見してもちょっとわからないのですが。
倉スタッフ)冊子の12ページのところに書いてあるんですが、今、私たちが描く未来社会。遠い未来っていうよりよりは今が繋がっていくということで、今の身近な政治が良くなっていく延長に未来があるから一足飛びにはいかないし、中国やソ連と違ってそれは国民が決めることだから。
倉)一応これは綱領なので綱領と規約を認めて党に入るっていうことで。じゃあみんながエキスパートで語れるかと言ったら、同意はしたけどどういう水準で同意ということになっているかは色々で。
理想っていうことで言えば、もっといい日本にしたいよねと。共産党の言ってることいいよね、と思って入ってくださっている方も多いと思うんです。
理想社会ということでそこが一致しないダメっていうわけじゃなくって、共産党がもっとルールのある資本主義の中で、分配をきちんと出来て、8時間働いたら後は自由な時間が確保できるっていう社会を、共産党が独裁で作るんじゃなくって、多様な党と一緒に作ると。
一党体制を目指さないって、はっきり書いてあるんですよ。
草)最初から連立でをイメージしている。
倉)そう。
草)どんな段階においても?
倉)そうどんな段階でも。
草)それ安心感あるな。イメージとしてはね、反対ばかりしているとかね、大体言うてはる事っていつも憲法のことねえ、とか。そして結局、一党独裁がしたいんだろう、と思われてはるかも。町の人のイメージね。
倉)それを解く努力は全然足りてないかもしれない
草)これを全面的に出さはったらいいのに。
今必要なのは、今の社会にね、多分必要なのはハッタリでもいいから理想やと思うんです。
党の意義ってそこかも?と思うんですよ。
ハッタリでもいいから旗振ってほしいんですよ、市民も。
若い人はやっぱりわからないかも?って思ったりもするけど。
デモとかストとか労働労働争議とか、そんなんが目の前にないんですよね。
私たちは子供の頃からまあ三井の炭鉱事故とかストとか。だいたいそういうことが子供の頃から、おとうちゃん達は闘ってるんだ、ということでイメージできてますよね。
でも今は全然知らないわけですよ。
だけど漫画の世界を見てるとね、理想とか正義がバンと来るし、血湧き肉躍るわけですよ。
世界平和とかね、その理想像っていうのはやっぱり旗を求めてる部分があるのかなあ。
草)今回、野党で13項目の政策合意っていうのは画期的で、旗振りの意味もあるかと。
倉)やっと初めて本格的に選挙協力だけじゃなくって、一緒の旗振って闘おう!っていう選挙になるんですよ。
草)これを若い例えば30代ママさんが知ってるかって言ったら知らない。
そういうことをどこでそこでどう見せるか見せ方ですよね、ちゃんと伝わるか。
倉)綾部で子育て真っ最中の30代ぐらいのお母ちゃん達に支えられて中島ゆうこさんっていう市会議員が出たじゃないですか。未来会議っていうのをやっていて党員、どれくらいいるのかな?半分もいなかったと思う。30人ぐらいのママパパが集まってくれて、自分達の関わり方は未来会議で自分たちが主体者となって自分たちが未来をこうしたいよ、みたいなところを探っている。
それを共有しながら中島裕子は共産党の議員として当選したんだけれども、そういう変化が今、起こっている。今回の国政では野党が同じ旗を振って闘う選挙で、そういう体験は近代日本で野党が統一政策を掲げて一つになって闘うというのは画期的。
画期的なんですよ、6年前は姿も形もなかった。やっと3年前2015年の戦争法(安保法案)で、あれだって周りで 声を上げてくれる市民がいなかったら 野党はバラバラでした。
あれだけの圧力があって、それに私ら答えなあかん!と言って強行された日に発表されたのが国民連合構想だったんですよ。それは綱領に書いてあることを具体的に言った。
草)今も政権取るつもりで連合しようという?
倉)もちろん連立で政権取る気です。そう見えてないかもしれないけど。
草)だいぶイメージが変わった!
草)野党同士で信頼関係がほんまにできてるのか?と思うときありますが。
倉)いやまだまだですよ。だって京都でどうですねん?
共産党は野党で共闘しようと言うけれど、非自民反共産ですから。
組長選挙も来年市長選挙があるじゃないですか、その時にそうやってね。
草)しらけちゃうもんね市民がね。
倉)そうそう。東京は東京、京都は違うのっていうようなことがあかんやんか!って、市民がもっと言ったらいいと思うんですよ。
草)アカンっていう声がまだまだ少ないからなかなかやっぱり。
倉)通らへんのやと思う。やっぱり世論。
世論の要求の高まりと実態を反映してそれに答えようとするから。
草)話は変わりますが、子供の保育問題と働く親の働き方というのが凄く微妙なところがあるんですけれども。働き方を保障するあまり、子供への負担が大きくなっているのはどうかなと思うんですよね。
子供達の負担が大きくならないように、充分に大切な時期をきちんと愛情のある中で育つようなことを保障しながら親の働き方もバランスよく整えていくということが必要かなと思うので。
何かこうどんどん働け、みたいなね、病気でも預けて働けみたいなことはおかしいと。
倉)賛成
草)保育と介護は急務ですよね。
倉)本当にそう。
草)そこをちゃんとするにはやっぱり働き方改革がね。
倉)だから雇用が基本なんですよ。働き方をどうやって規制してルールある働き方で守っていくのかっていうことが。
草)小商いしている方でも、そういう働き方が保障できるようにしないと。大手の企業はね、できているかもしれないけれども、個人事業者っていうのはすごい大変。時給1500円大変ですよね?
倉)だからアメリカだってヨーロッパだって1500円出てきてるところは何やってるかというと直接入れてるんですよ、資金を。中小企業事業主に。
草)中小じゃなくて個人商店、私もやってましたけど、そこってやっぱり取りこぼされがち。
倉)労働法制の枠外ですからね。
草)そうそうそうそう。
倉)そこはやっぱり協同組合作らなきゃ。
草)自分たちで? そう思いましたよ、昔の結みたいなの作らんとやっていけへん、って。
倉)一人だったら交渉権もないじゃないですか。
草)なるほど。
倉)社会共同体。個の利益を保証するっていうことがなかなか法的にも難しいだけれども、小商いの人たち、今、民商さんとか作ってるじゃないですか。そういう共同体を作って、社会資本としてのこの事業主を支援する、それは国民の理解も得ながら支援できる、そういう仕掛け。
蜷川さんっていう人がおって、組合作れ作れって言ったのは、やっぱり協同することで社会的なインフラ基盤になると。そうなったら公的支援の投入の理由が立つ。
資本主義を豊かに発展させるという時に絶対、小規模事業主の知恵やアイデアっていうのは宝にしていかなあかん。
- 尊敬する人は誰ですか?
草)ご質問なんですけど尊敬する人とか心の支えのような人、いらっしゃいますか?
倉)尊敬する人はやっぱり両親で、父は死んでしまったんだけど両親尊敬してますね。
草)厳しい会津の中で共産党だったということ?
倉)家は農家で山を持ってたので結構お金持ちだったんですよ。父親が子どもの頃は。
ところが結核が流行して家族の半分以上が死んじゃって。まだ抗生物質が出る前だったので一山売り一山売りしていたら最後に一人が死んだ時にすっかり山もなくなって。
結核も当時差別されてたんですよね、隔離して。結核だとか言えなくて。
父が高校生の頃にはとことん貧乏だったんですって。農業高校行ってて、その時の先生が共産党員で。貧乏というのはあんたのせいじゃなくって社会の、社会が作り出したものだから社会を変えることで貧乏から人を救うことができるんだっていうことを聞いて。
草)戦前?
倉)いやいや、うちの親父だから昭和10年生まれ、戦後。
草)戦争終わってから。
倉)戦後で、そういう出会いがあってどん底の時にその理想や希望があるんだっていうことで救われたと思うんですよね。詳しくどういう動機だったのとか聞かなかったんだけれども、母親も共産党というと村八分される時代だから、そこに嫁に来たということで、一族から縁切りされるようなことがあったんだけれども。一度ちゃんと聞いとかなあかんな、と思いながら聞けてないんだけれども。
母も一緒に共産党をやるようになって。
草)結婚されてからされるようになった?
倉)そう。集団就職で滋賀に行って工場が潰れちゃったんで、定時制高校を卒業しきらずにまた戻って。それから結婚して。半世紀も前の話。
なんかそういう筋を通すというか、あんた間違ってる、とかいろんなこと言われても誠実に生きてきた。あんだけ悪口言われてるのに、なんでこんなに誠実に「人のために人のために、言ってやるんだろうか」って。真摯な人だったんだけれども。それは共産党員だったからなんだなと分かって。そういう意味では尊敬しています。よく頑張りましたっていう感じ。
草)いいお話を聞かせていただいて。ありがとうございました。