2019-01-23

「京都の水は大丈夫?水道法案可決成立」後編

奈美さん: 日本の水道事業、水道料金が収入のメインですよね?今後減少していく。それに対して民間がなんとかしてくれるって果たして本当なのでしょうか???私がその企業の社長だとしたら、どういう地域で事業を展開したいかといったら、人口密度の高いとこ。設備もそこそこ更新していて、水道料金もしっかり払える人が多い大きい都市。私が住んでいるのは、京都市でも京北という300人ぐらいの村だけど、きっとそんなところで事業が継続できるのか、と考えると思う。

 

辻谷さん: そもそもコンセッションの運営っていうのが水道事業の課題を解決するわけじゃなくてひとつの選択肢。だから奈美ちゃんいるようなとこには120%入らない笑。儲からないところではやらない。ヴェオリア、スエズなど多国籍水企業は東京で、大都市で現在黒字経営のところでやりたい。そこに行き着くまでに他の事業体で国内で水道事業の実績つくりながらというプロセスはあると思う。そもそも地方の赤字水道事業がコンセッションで解決することはないし、自分たちで解決しなければいけない問題。

 

奈美さん:うちは京北で、京都市なんですが、京都市水道局で検針業務はヴェオリアさん。職員さんは熱心でプロフェッショナル。京都市がコンセッション契約を決定したとしたら、うちの地域も含めて民営化。切り捨てられる地域もでてくる?

 

辻谷さん:契約がすべて。奈美ちゃんの家に届けてよ、京都市全域してよね、という契約にしとかないと。この家一軒のためには効率が悪いから切り捨てようは考えられるね。なにからなにまで契約の世界。浜松市の下水道事業はコンセッション契約してるけど、契約書ものすごい分厚かった。

 

奈美さん:じゃあ水道や法律に関して相当詳しい弁護士さんがたくさん必要ですよね?そんな一つ一つ契約書で縛らないといけないのなら。自治体はそんな人たちを準備できるのでしょうか。

 

辻谷さん:それは、基本的にできてない。外資の世界からしたら赤子の手をひねるようなものかもしれない。市民からどんどん遠くなる。契約書では企業秘密を守るという条項と、情報公開という条項が二律背反している。

 

奈美さん:そうなりますよね。国会の答弁見たんですけど、麻生さんが水道の民営化を進める理由を答弁していた理由は3つ。一つ目は小さな町は人も少なくて水道事業をやってられない―ここの人たちー国会議員さんたちーは分からないだろうけれど、地方に住んでる人ならわかるはず、っておっしゃった。二つ目は日本の水道の技術は素晴らしいので世界に開かれるべきだ。海外進出すべきだ、と。そこまで言わないにしても、収入が少ないなら海外の水道事業で利益出すべき、という論調です。ちなみにオランダでは水道事業が海外進出して儲けることが禁止されました。三つ目は、非効率。その最たる例として彼があげたのは、震災のときのこと。他県の水道事業体が応援に駆けつけたら、自治体のあちこちで径が違ってばらばらで応援にならなかった、と言うのです。民間になれば径が統一される。そんな理由でしたが・・・

 

辻谷さん:どれも事実と異なる。まず地方の赤字水道に民間企業がコンセッションをやりたいと入らない。儲からないから。普通15%~18%のリターン要求してくると言われているのだから当然やらない。民間運営でやれば地域がよくなるというのはプロパガンダと思う。ただ、日本の企業が水道事業全部をやる経験がないのはわかっているから、まずどこかの地方でやってから経験を積んだプラットフォームを海外に輸出して、というのは考えているはず。災害地へ他都市から応援に行って、そこの水道管の太さや規格が違うというのはそれぞれの地域の中の歴史的な背景があるから。阪神災害のときももちろん大阪とは違ったしそれは当然で、逆に公営だからこそ統一性がぎりぎり担保されているということがある。民間になったら海外の資材使ったりとか、余計ばらばらになる可能性はある。

 

奈美さん:市民にとって、水があることが当たり前で、普段は水道のこと考える機会がない。いざ考えるのは災害のときですね。私は山間に住んでいて、このあいだの台風で電気がこなくて市議会にも話して、働きかけてくれたけど関電は対応できなかった。各地から作業員や技術もった人が他府県から応援に駆けつけて来てくれたのだけど、関電が実態を把握できてなかったから、手持ち無沙汰だった。管轄が広域化して技術者も減って継承が危ういのもあるし、技術者がいても小さい部署がないと小回りが効かない、後回しになる地域が多くなる。インフラは小さい単位で運営するべきと痛感しました。地域の水道施設のしくみを知っている人が市にも自治体にもいること。オペレーションチームが市民も含めて全体でつくられているべき。それをしないでいるのは、山間地でも暮らしていける社会を手放すこと。ライフラインが「利益を生むか生まないか」というものさしに委ねられるというのは、人の命が切り捨てられること。そして切り捨てられても、そこに住んでいる人の自己責任。それがイヤなんだったら大きい町に引っ越したらいい、というのは、山間地では暮らしていけないような仕組みとも言える。私たちは、自然豊かな山間地、町にとっては上流で水源地である地域を未来世代に引き継いでいきたいのか、それとも、その地域は「非効率」の名のもと切り捨てるのか、広い市民で話し合える場をつくって、しっかり議論すべきだと考える。いまは選択と集中で小さい地方を切り捨てているように思えて仕方ない。世界にはいろんな事例があって学ぶ事例があるのに、それが検討されないまま水道法が通ったというのが不安でしかたない。どういう形の市民のはたらきかけがあれば、すべてのひとに透明性のある水の供給が可能になりますか?

 

辻谷さん:やっぱり高度経済成長期っていうのは水道通したよ、というのが政治家にとってはお手柄になるから関心は高かったけど、維持管理ってなったときに市民と離れていったと思う。水道局も24時間365日水は出すっていうええかっこしてきた。いまや日本の水道事業体の三分の一が赤字で、実際、水道料金あげなきゃいけない。政治家にとっては市民の暮らしに直結するから値上げは避けたい。あげないかんけど次の代でやってくれ、みたいな。それに加えて総務省の小さな政府、地方公務員の削減、とかで水道職員が激減。すごい厳しい状況。それでもええかっこして市民生活支えてますねん、とやってきた。民営化してもベストにならないのはわかっててタネが見えてる手品みたいなもん。何が大事なのかというとやっぱりその自分の地域の水道がどうなってるか。公営ってなんなのかを追求するべきだと思ってる。これからあるべき姿は、みんなが自分ごととして考える公営水道。

 

奈美さん:私の住んでるところは桂川の水源でとってもきれいで。そんなところなのに8年ぐらい前に膜濾過を導入するというのを聞いてびっくりした。京都市水道局に問い合わせたら、「水需要に対応するため」と丁寧に答えてくれたが、ここは過疎に悩んでいる地域。ろ過にはいろいろ方法があって、時間かかっても沈殿で濾過するという緩速ろ過というやり方や、薬品で早くろ過する急速ろ過などがある。でも膜ろ過の膜って、最初は中東とか水ないところで海水をいかに飲めるようにするかが問われて開発された高度な技術なんですよね。気になって、近隣の地域を調べたら膜濾過とか、薬いれる急速濾過とか。水のきれいな300人の村で、なんでそんなお金かかるシステム必要なのか?それは市民が誰もなにもいわなかったからですよね。

 

辻谷さん:企業誘致したかったとか、その膜を使わないといけないみたいなそういう理由もあるかもしれない?政府の中でも水需要予測とか全然統一化されていない。国の方針として民営化路線でコンセッションやれとはすすめられてるけど。地域の水道事業体もえらいことなるかもしれないので、検討だけはしてますという感じのところもある。京都はいまのところなりにくい地域かもしれないから、市民の代表を決めて、常々チェックしていく。こういうタウンミーティングなども重ねて、しっかりとみていくことが必要なのかなと思う。

/// izaki atsuko ///

 

2019/1.18 18:00-21:00 at kazenone

 

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